【Aramoto et al. (2026) 宇和海におけるマサバ・ゴマサバ稚魚の摂食・成長・孵化時期】
愛媛県沿岸の宇和海において、まき網漁業によって採集されたマサバとゴマサバの稚魚期の生活史特性について報告した論文です。2025年度に博士課程前期を修了した荒本和磨君の修士論文を投稿したものです。彼は2024年に他大学からこちらの大学院へ進学し、燧灘のカタクチイワシ仔魚を材料として研究をスタートしました。しかし、サンプルがあまりとれなかったことなど諸事情により、修士1年の途中でテーマ変更しました。研究テーマを検討していく過程で、冷凍庫に眠っていたマサバとゴマサバの稚魚のサンプルを活用しよう、という話になりました。このサンプルは、以前に飼育実験でお世話になっていた伯方島の米田さんから「天然魚の分析もやってはどうか」という提案をいただいて、2021年と2022年に愛媛県で研究室OBの後藤さんの協力により収集していただいたものです。これに、愛媛県の橋田さんの協力を仰いで2025年のサンプルを新たに収集し、研究することとなりました。

(サバ類のサンプル)
研究対象のマサバとゴマサバは、伊豆諸島周辺に大規模な産卵場を形成し、ここで生まれた稚魚が生産性の高い黒潮親潮移行域へ移動して(運ばれて)成長することが知られています。一方で、伊豆諸島より西部でも沿岸域でサバ類の産卵や仔稚魚の出現が確認されていますが、移行域に比べて知見が限定的でした。研究場所である豊後水道では、サバ類は稚魚期からまき網漁業での漁獲対象となっており、稚魚は養殖の餌料として活用されているとのことでした。そこで、宇和海でまき網によって漁獲されるサバ類稚魚の食性や成長を調べ、サバ類の資源特性の理解に貢献することを目指しました。
調査していくつか興味深い特性がわかってきました。まず、尾叉長10cm未満の個体では魚卵がよく出現すること(出現時期やサイズからマアジ卵の可能性があります)、10cmを超えると魚食性を示す個体が多くなること、成長が速いこと、です。さらに、耳石から推定した稚魚の孵化時期は2~4月であり、以前に豊後水道でサバ類の出現について調べた後藤さんの研究で示唆されていたとおり、この海域での産卵期より若干早く、他海域からの移入個体が高い割合を占めることが明らかとなりました。
(M1の中間発表で説明する荒本君)
(水研で研究内容紹介)
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