進行中の研究内容
1 瀬戸内海および周辺海域における魚類の生活史特性や生産機構に関する研究
瀬戸内海は生産性の高い海域として知られています。一方、生息する魚類の生態的特性に関してはまだまだ未解明の部分が多く残されています。有用魚介類の生産機構を明らかにし、持続的な利用に資することを目的として、野外調査、漁獲標本調査などを行い、他海域との比較などを通じて、成長・食性・再生産などの生活史特性について調べています。また、資源の減少が著しい魚種では、なぜ減少したのかを明らかにすることが重要です。こうした課題にも共同研究を通じて取り組んでいます。
<イカナゴ、カタクチイワシ>
瀬戸内海の高次生産(魚食性魚類の成長など)を支えているイカナゴの資源変動機構、さらにその動向によって高次生産に生じる影響についても関心を持っています。主な成果は以下の通りです。
・1月下旬においてイカナゴ仔魚の体サイズには瀬戸内海の東西で変異がみられた(Shigematsu et al. 2017 FS)
・イカナゴのmsDNAマーカーを開発した(Shibata et al. 2018 JARQ)
・イカナゴ稚魚が夏眠前に経験する餌料条件によって再生産力が大きく変動することを実験的に示した(Kuzuhara et al. 2019 PLOS ONE)
・イカナゴはせん断強度の低い底質を好んで潜砂することを示した(Endo et al. 2019 JE)
<カタクチイワシ>
・カタクチイワシの湾灘ごとの親魚量を卵数法により推定した(宮木、卒論)
・燧灘において加入状況が1990~2010年代にかけて悪化していることを示した(Fujita et al. 2021 FO)
<タチウオ>
タチウオは魚食性の魚類で、瀬戸内海では全国の漁獲量の半分程度を占めるほど重要な漁獲対象種ですが、生活史について未解明の点が多く残されています。また、瀬戸内海および周辺海域では資源の減少が大きな問題となっています。主な成果は以下の通りです。
・燧灘においてタチウオはカタクチイワシやイカナゴ、ソコシラエビなどを主に摂食していた(新野ほか 2017 日水誌)
・タチウオ仔魚は日中には中底層に限定して出現したが、夜間には表層から底層まで出現した(Uehara et al. 2019 JMBA)
<ヒラメ・カレイ類>
瀬戸内海では主にイシガレイ、マコガレイ、メイタガレイ、ホシガレイの4種のカレイ科魚類が生息しています。特にマコガレイを中心に資源水準の低下が著しいことから、減少要因やこれに関連する野外での稚魚の生態や飼育実験による成長特性などを調べています。ヒラメについても取り組んでいます。主な成果は以下の通りです。
・呉市の干潟ではマコガレイの成長が良好であった(大槻、卒論)
・広島の河口域干潟でホシガレイ稚魚の生息を初めて確認した(Hata et al. 2015 AS)
・広島県竹原市の干潟ではマコガレイが地下水の噴出場所に多く出現した(Hata et al. 2016 JSR)
・飼育下でのマコガレイ稚魚の成長は水温20℃で最も良好であった(Kusakabe et al. 2017 FS)
・成長の至適水温はマコガレイ稚魚のサイズ増大とともに高くなった。干潟でのマコガレイの成長速度はほぼ最大と推定された(Tomiyama et al. 2018 JSR)
・夏季の高水温化が進行することで、瀬戸内海のメイタガレイの摂食量が低下し、肥満度の低下が加速することが示された(Yamamoto et al. 2020 REC)
・燧灘西部におけるヒラメ稚魚の主な食物がカタクチイワシ仔魚とエビジャコであり、エビジャコが餌料として重要であることを示した(Yamada et al. 2020 RSMS)
・事前に経験していた水温が高いと高水温耐性が高くなるが、成長の至適水温は事前の水温に影響されなかった。高水温で飼育した稚魚の成長は低水温条件で低下したことから、高水温で種苗の成長を促進することが放流後の成長には好ましくないことが示された(Sakurai et al. 2021 JTB)
・ヒラメ礫石の日周性を確認し、孵化日の推定手法を提案した(Uehara et al. 2023 FR)
・イシガレイとマコガレイはどちらも極端な低塩分で成長が低下するが、一日に数時間程度の低塩分であれば成長には影響がなく、河口域は両種の成育場になりうることが示された(Islam et al. 2024 ECSS)
<サワラ>
・稚魚の高水温耐性は50%致死水温が31.8℃、飢餓耐性は仔魚期よりも長く20℃で3~11日と推定された(Harada et al. 2021 FS)
・サワラ仔魚によるカタクチイワシ仔魚への捕食インパクトは大きくないと推定された(Deguchi et al. 2023 DSR)
<マサバ・ゴマサバ>
・宇和海におけるマサバとゴマサバの分布様式および当歳魚と1歳以上との違いを明らかにした(後藤ほか 2020 日水誌)
・東シナ海周辺においてまき網で漁獲されるマサバが約50年の間に小型化、若齢化していることを明らかにした(Kunimatsu et al. 2023 RSMS)
<マアジ>
・宇和海における暖水流入とマアジ稚魚の来遊の関係を明らかにした(橋田ほか 2017 水産海洋研究)
・宇和海におけるマアジの産卵期が4~7月であることを明らかにした(Hashida et al. 2019 FS)
・耳石日周輪解析から、宇和海に来遊するマアジ仔稚魚の大部分は他海域由来であると推定された(Hashida and Tomiyama 2023 JFB)
<メバル類>
・クロメバルとアカメバルは水槽内での行動が大きく異なることを明らかにした(Kudoh et al. 2023 FB)
<ヒラ>
・瀬戸内海におけるニシン科魚類ヒラの成長を明らかにし、雌の方が大型になることを示した(益井ほか 2016 水産海洋研究)
2 干潟域における底生生態系の生産構造
瀬戸内海ではアサリの資源量が激減して干潟の様相も大きく変化しています。それだけでなく、干潟の面積自体も埋め立てなどによって減少しています。どのような生物がどのように干潟を利用しているのか、干潟で生物同士がどのような関わり合いを持っているのかを調べながら、干潟の役割や機能を評価し、干潟の保全につなげていきたいと考えています。フィールドは瀬戸内海のほか、福島県で唯一の大型の汽水性潟湖である松川浦においても調査を継続しています。自然界では、食う・食われる、の関係(捕食被食関係)や寄生・宿主関係などによって、多くの生物が影響を及ぼし合っています。捕食者がどのぐらい食物を必要とし、また特定の食物に依存しているのか、被食者はどのぐらい捕食を受けても個体群を維持できるか、ということにも関心を持っています。
<サキグロタマツメタ>
サキグロタマツメタはタマガイ科の巻貝で、かつては西日本における絶滅危惧種でしたが、中国や朝鮮半島からのアサリ種苗に混入して日本各地でみられるようになった外来生物です。アサリ等の貝類に穴を空けて中身を食べてしまい、東北地方では潮干狩りが閉鎖となるなど問題となっています。主な成果は以下の通りです。
・サキグロタマツメタは松川浦では2002年に初めて確認され、その後に分布を拡大した(冨山ほか 2011 日水誌)
・サキグロタマツメタが産卵期中に1回だけ卵塊を形成すること、産卵直前の交接がなくても正常な卵塊形成をすることを明らかにした(Tomiyama 2013 FS)
・広島湾の干潟で生息を確認し、その分布量を推定するとともに東北地域の個体群より体サイズや卵塊サイズが小さいことを明らかにした(Yoshida et al. 2017 PBR)
・サキグロタマツメタが生息しているだけでアサリの成長が減少する非致死的影響があることを示した(Tomiyama 2018 BI)
・広島県内のサキグロタマツメタ生息場所を記載し、体サイズや卵塊サイズに年変動がみられることを示した(吉田ほか 2019 水生動物)
・松川浦においてサキグロタマツメタの性比は雌雄1:1であるが、夏に干潟に現れる個体では大きくオスに偏っており、交尾のためであると考えられた(Yoshida et al. 2022 SR)
・飢餓耐性が高く、20℃での無給餌生残日数は孵出幼生で最長86日、1歳貝で最長323日であった(Kinoshita and Tomiyama 2022 JSR)
<カイヤドリウミグモ>
カイヤドリウミグモは、ウミグモという生物群の中で唯一、二枚貝に寄生する種として知られています。1920年代にアサリに寄生しているのが見つかって以降、ごくまれに報告がある程度の生物でしたが、2007年に東京湾で大発生してアサリなどの二枚貝が大量に斃死しました。その後、愛知県や福島県(松川浦)でもアサリへの寄生が見つかっています。主な成果は以下の通りです。
・カイヤドリウミグモの遺伝的な変異は、少なくとも国内では少なかった(張ほか 2012 日水誌)
・カイヤドリウミグモの分類学的位置を記載した(Miyazaki et al. 2015 JCB)
・カイヤドリウミグモが寄生するとアサリの潜砂深度が浅くなり、肥満度が低下して瀕死になることを示した(Tomiyama et al. 2016 Hydrobiologia)
・カイヤドリウミグモの寄生によってアサリが斃死すること、寄生強度が高いほど斃死率が高くなることを示した(Yamada et al. 2018 JMBA)
<アサリ>
・震災後に津波の影響でアサリ個体群が激減したが、2013年から急速に個体群が回復した(Abe et al. 2017 RSMS)
・アオサの大量発生によって野外においてもアサリの成長が低下する可能性が示唆された(右田、卒論)
・松川浦内で生息不適地から適地へアサリを移植することで、身入りや成長の増大効果がみられた(Tomiyama and Sato 2021 BMS)
・環境によってアサリの殻高や殻幅が相対的に変化するが、殻高は生息場所の環境、殻幅は個体の成長速度と関係しており、異なるメカニズムが示唆された(Tomiyama 2021 JMBA)
<藻場・干潟>
・アマモ場が大雨により衰退することで魚類相が大きく影響を受ける事例を明らかにした(Yoshikawa et al. 2019 JMBA)
・干潟の魚類相が砂浜、河口域、アマモ場で大きく異なることを示した(吉田ほか 2019 水産技術)
・ヒメハゼの成長速度や二次生産量を推定した(Yoshida and Tomiyama 2021 EBF)
・津波後のアマモ場の回復過程と魚類群集の関係を調べた(Shoji et al. 2021 FS)
・アマモ場の溶存酸素は日中に光合成で上昇するが、夜間は呼吸で減少し、魚類の生息に負の影響を及ぼす可能性を示した(Shoji and Tomiyama 2023 EC)
3 常磐海域における底魚資源の生物特性の解明
常磐海域は親潮と黒潮がぶつかり、生産性の高い海域です。この海域における、ヒラメ以外の底魚類の生態や生物特性についても研究を行ってきました。主な成果は以下のとおりです。
<ヒラメ・カレイ類>
・マコガレイでは、無眼側の触感は雄がザラザラ、雌がツルツルであるが、これは鱗の形状に性的二型があるためであった(Tomiyama 2013 JFB)
・震災後の漁獲圧の低下とともにヒラメが急増したことから、震災後の最適な漁獲努力量について提案した(Shibata et al. 2017 FO)
・仙台湾のヒラメ成育場は震災による攪乱を経たものの、天然稚魚の成長は震災前後で変化せず、成育場機能が維持されていた(Kurita et al. 2017 FO)
・仙台湾のカレイ類と日本海のカレイ類とで形態に変異がみられる場合があった(松田、卒論)
・仙台湾のマコガレイの日間摂食量は7月では体重の3%程度であること、摂食量は雄より雌の方が、また夏~秋に大きいことを明らかにした(Takahashi et al. 2018 JAI)
・福島県の底びき網とさし網の標本船操業記録を解析し、イシガレイ、マコガレイ、ヒラメの季節的な分布水深の変化や産卵場所の水深を明らかにした(Tomiyama et al. 2021 FR)
・標本船の操業日誌から、常磐海域においてヒラメの分布パターンが30cm未満と30cm以上の個体で異なること、冬季に深場に分布することを示した(Kurita et al. 2021 FS)
<クサウオ>
・クサウオは年魚であり、夏に100m以深の場所へ移動し、秋以降に沿岸域に戻って産卵すること、体サイズが大きくなると魚食性が強くなり、ヒラメ稚魚の捕食が生じる可能性があることがわかった(Tomiyama et al. 2013 JMBA)
<マアナゴ>
・稚魚は外海砂浜域だけでなく松川浦の干潟にも出現し、ヨコエビ類などを摂食していた(冨山・佐藤 2010 福島水試研報)
<ズワイガニ>
・東北太平洋側ではズワイガニは宮城~茨城にかけて漁獲されるが、最終脱皮サイズは茨城で福島~宮城より大型であり、茨城海域では漁獲サイズの増大の余地が示された(鷹﨑・冨山 2017 日水誌)
4 その他
いろいろなプロジェクトや共同研究に関わらせてもらっています。主な成果は以下の通りです。
<ミャンマーにおけるタチウオ類の資源特性>
・タチウオとして水揚げされているものに、少なくとも3属5種が含まれていた(Okamoto et al. 2018 RSMS)
過去の研究内容
1 干潟域における非致死的な水管摂食を介したイシガレイと二枚貝の捕食被食関係
イシガレイは水産上有用なカレイ類の一種で、仙台湾では外海の砂浜域と内湾河口域(干潟域)を稚魚期の成育場として利用します。干潟域では外海砂浜域よりはるかに面積が小さいにもかかわらず、漁業資源として成長したイシガレイには干潟域で稚魚期を過ごしたものが多いことが知られていました(Yamashita et al. 2000 FO)。また、干潟域の方が外海域よりも成長が速いことも知られていました(Malloy et al. 1996 MEPS; Yamashita et al. 2003 JFB)。
私たちは、「干潟域での速い成長をどのような食物が支えているのか」を当初の目的として、仙台湾につながる名取川で稚魚の採集を行い、胃内容物を調べたり餌となる二枚貝の生産性について実験を行ったりしました。イシガレイは、二枚貝イソシジミの水管を主に食べており、この水管は食べられても再生できるので、イシガレイの高い生産を支えていることがわかりました。具体的な成果は以下のとおりです。
<イシガレイの摂食生態>
・イシガレイ稚魚は食物の少ない砂質域で多く分布し、二枚貝イソシジミの水管や多毛類の触手など再生可能な食物を主に利用していた(Tomiyama et al. 2005 JSR)
・イシガレイ稚魚は入水管を主に摂食し、また摂食対象となったイソシジミは、小型サイズに偏っていた(Tomiyama et al. 2004 FS)
・仙台湾の干潟域では、名取川以外でもイシガレイによる再生可能な食物の利用が普遍的に生じており、また野外でのイシガレイの成長はほぼ最大速度であった(Tomiyama et al. 2007 MB)
・イシガレイ稚魚は河口域の下流側、同属のヌマガレイ稚魚は上流側に棲み分けており、食物の違いや捕食者であるエビジャコからの回避と関係していると考えられた(Tomiyama and Omori 2008 ECSS)
・イシガレイ稚魚の食物が小さい生物から二枚貝の水管にスイッチするが、これは体の大きさによる変化だけでなく季節的に生じる変化であった(Tomiyama 2012 JFB)
・イシガレイ稚魚は夜でも摂食可能であるが、実際は日中に主に摂食し、稚魚期には体重の3~13%を捕食していた(Tomiyama et al. 2016 JSR)
<イソシジミの水管生産>
・イソシジミ水管の先端部は切除後、約3週間で形態的に再生をすること、イシガレイによってイソシジミは1シーズン1個体あたり約26回の水管捕食を受けることを推定した(Sasaki et al. 2002 FS)
・イソシジミは水管を量的に再生可能であり、切除後初期に急速に再生させていた(Tomiyama and Ito 2006 JEMBE)
・水管被食によってイソシジミの成長はわずかに阻害されるが、水管の生産は増大していた(Tomiyama and Omori 2007 JEMBE)
・名取川河口域ではイソシジミが優占し、また二枚貝と多毛類の種ごとの分布は、主に塩分、底質、地盤高によって規定されていた(Tomiyama et al. 2008 ECSS)
・イソシジミの肥満度には河口域の中でも場所による変異がみられ、水管被食による影響はわずかであり、環境条件の適否が強く影響していた(Tomiyama et al. 2010 MEPS)
<その他>
・年によってはヒラメ稚魚が河口汽水域に出現することがあり、季節外れの台風による時化から避難してきた可能性が考えられた(Tomiyama et al. 2009 ECSS)
・アサリのような水管が短い二枚貝も水管を量的に再生させること、しかし再生速度はイソシジミよりも小さいことがわかった(Tomiyama 2016 MB)
2 常磐海域におけるヒラメの栽培漁業の高度化および生態特性の解明
ヒラメは栽培漁業の対象種であり、飼育条件下で親魚から得た卵をふ化させて育て、一定サイズの稚魚となってから海に放流する、ということが各地で行われています。東日本大震災以前、福島県では栽培事業として毎年100万尾の種苗を放流していましたが、その効果が不明であったこと、事業の効果を高めることが課題でした。また、ヒラメは沿岸の底魚資源として最重要種ですが、その生態特性も十分にわかっていませんでした。そこで、放流効果を明らかにし、さらに放流後の稚魚の成長やヒラメ天然魚との競合、ヒラメの食性など資源生態に関しても調査を行いました。得られた成果は以下のとおりです。
<放流効果>
・福島県におけるヒラメ種苗放流効果を試算したところ、放流魚だけで毎年60トン前後の水揚げになっていた(冨山ほか 2004 福島水試研報)
・放流魚の回収率が最大で17%となり、全国的にみても放流効果は高いが、天然魚の卓越年級群が発生した場合には放流効果は大きく低下すると考えられた(Tomiyama et al. 2008 RFS)
・放流効果判定にあたり、天然魚と放流魚の識別は無眼側の黒化という体色異常によって行われているが、ヒラメ天然魚でも無眼側に体色異常が見られる場合があり、そのパターンを示した(冨山ほか 2008 日水誌)
<放流技術>
・福島県沖で放流したヒラメについて、クサウオ、ヒラツメガニなど従来捕食者として知られていなかった生物による捕食を確認した(Tomiyama et al. 2009b JFB)
・人工ヒラメの放流後の成長がよい場合は、生残も良好であり、回収率も高かった(Tomiyama et al. 2011 JFB)
・ヒラメ天然魚の成長を抑制しない適正な放流量を検討するためのモデルを構築した(Yamashita et al. 2017 FR)
・福島県における適正放流量は年によって大きく変化し、卓越年級群が発生した2005年の適正放流量はゼロと推定された(Tomiyama et al. 2017 FR)
<寄生宿主関係>
・ヒラメに寄生する吸血単生類ネオヘテロボツリウムは、常磐海域では1997年に初めて確認され、2002年まで多く、その後急減した(Tomiyama et al. 2004 FP)
・ネオヘテロボツリウムは常磐海域で一時的に急減したが、2006年に再び急増し、この変動は水温や宿主、寄生虫の量が関係していると考えられた(Tomiyama et al. 2009a JFB)
<資源生態>
・ヒラメは雌の方が大きくなり、3歳までの成長速度は常磐海域において三陸海域よりも速かった(Yoneda et al. 2007 FS)
・ヒラメ仔魚が水深3,000m以上の沖合の表層で採集された事例があり、死滅回遊の可能性が高いと考えられた(Tomiyama et al. 2008 FS)
・ヒラメ資源量の多寡は浮遊期の成長速度と生き残りの関係に起因するものではなく、他の要因が効いていると考えられた(Oshima et al. 2010 JSR)
・ヒラメの食物に常磐海域の南北で変異があり、北はイカナゴが利用できることで一時的に高い肥満度となった(Tomiyama and Kurita 2011 AB)
・ヒラメ放流後の餌であるアミ類を10種以上の魚類が利用しており、餌を巡る競合がヒラメ天然魚の成長に影響する可能性を示した(Tomiyama et al. 2013 MEPS)
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