【吉田ほか (2019) 広島県のサキグロタマツメタの分布】

2020年06月19日 13:57
著者:吉田和貴, 瀨戸川智香, 冨山 毅
題目:広島県の干潟におけるサキグロタマツメタの分布と体サイズの変化
掲載誌:水生動物 2019: AA2019-6 (2019)
論文閲覧:広島大学リポジトリ公式HP 

 広島県内の10箇所の干潟でサキグロタマツメタの生息について調べた論文です。吉田和貴君の2報目の論文です。彼が2016年度の笹川科学研究助成を受けて、自身で調査場所の選定、調査の実施を行いました。広島県内ではあちこちでアサリが放流されているので、最初に見つけた三筋川河口干潟以外でも探せば見つかるのでは、と考えていましたが、すでに生息が確認されている三筋川河口干潟および尾道市の海老干潟以外には全く見つかりませんでした。しかし、ツメタガイ、ゴマフダマ、アダムスタマガイ、エゾタマガイといった他のタマガイ科やその貝殻が見つかり、その記録を得ることができました。また、三筋川および海老干潟では、2015~2017年にかけて採集されるサキグロタマツメタやその卵塊のサイズが小さくなり、密度が低下する傾向がみられました。その理由は不明です。このまま小さくなったりいなくなったりするのかと思いきや、2018年には密度が増加し、サイズも大きくなりました。



(ゴマフダマ)


 これらの記録をもとに、2017年9月に吉田君が執筆を開始しました。この時点では当然ながら2018年の結果は含まれていません。そして2017年12月に日本ベントス学会誌に投稿しましたが、2回の査読を経て最終的に却下となりました。この時点ですでに吉田君は就職していましたが、彼が引き続き原稿の改訂に尽力してくれました。吉田君の卒業後に、サキグロタマツメタの研究を卒論で取り組んだ瀨戸川さんが、2018年のモニタリングを引き受けてくれて、そのデータが得られたことから、このデータも入れて吉田君が原稿を改訂し、2019年に刊行された「水生動物」というオンライン雑誌に2019年5月に投稿しました。2回の査読を経て、7月に論文が受理されました。掲載までは極めて早く、受理の2日後にオンラインで掲載されました。論文はJ-Stageでオープンアクセスで公開されています。

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